素直になれない夏の終わり

「味はね、こっちから、苺、チョコ、カスタード、それから季節限定の栗ね。夏歩、お先に好きなのどうぞ」

ずいっと押し出された箱が、夏歩に最も中身が見えやすい位置で止まる。
ありがとう、とひとまずお礼を述べたところで、夏歩は一旦箱から視線を上げた。


「ところで、このシュークリームは一体……?」

「今朝お昼を調達するのにいつものコンビニに行ったら改装中でね、しょうがないからちょっと遠回りになるんだけど今まで行ったことないコンビニに行ってみたの。そしたら向かいにオシャレなケーキ屋さんがあって、せっかくだから入ってみたらこんな素敵なものを見つけたのよ」


なるほどと夏歩は、再び箱の中のシュークリームに視線を落とす。


「元々、夏歩の分と自分の分とで二つだけ買おうと思ってたんだけど、見てたら全部欲しくなっちゃって。ええいもう、買っちゃえ!ってわけでこうなったの」


それで、シュークリームが四つかと夏歩は納得した。

あまり大ぶりではないそのシュークリームは、外から見てもわかるくらいたっぷりの生クリームとカスタードクリームが中に入っていて、蓋のように上にちょこんと載ったシュー皮が、チョコレートでコーティングしてある。
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