素直になれない夏の終わり
これはあまり大ぶりではないというところと、見た目の可愛らしさから、四つ全部買ってしまうお客が多発していそうだと夏歩は思った。
「夏歩、どれにする?」
いいの?と問い返すと、美織が頷いたので、夏歩はお言葉に甘えて先に選ばせてもらう。
しばらく迷って夏歩が選んだのは、季節限定の栗。
中の生クリームとコーティングのチョコレートが栗の味で、シュー皮の上に栗の渋皮煮が乗っているのが、なんだかモンブランのようにも見える。
美織が選んだのは苺で、そちらは中の生クリームとコーティングのチョコレートがうっすらピンクの苺味、上にはスライスした苺が飾られていた。
「この大きさが憎いわよね。もうちょっと大きかったら二つに絞れたところ、これなら四つでもいけちゃうかもって思わせるんだもの」
言いつつ美織は、自分の分の苺と夏歩の栗を一口食べたところでギブアップした。
「……あとの二つは夏歩にあげるわ。せっかくだから、津田と仲良くどうぞ」
「美織、持って帰らないの?」
「あたしが一つ持って帰ったとして、夏歩は残り一つを津田と分ける気がある?」
「ない」
即答したら、「でしょ」と言って美織は夏歩の方に箱を押した。