素直になれない夏の終わり
「お風呂行くならその前にお弁当出しちゃって、洗うから。あと、鞄は床じゃなくてあっち」
ビシッとハンガーラックを指差され、夏歩は一旦持っていた着替えをその場に置いて、渋々と鞄のもとに向かい、中からランチバッグを取り出して津田に渡し、鞄はハンガーラックの端に引っ掛ける。
これで満足か!とばかりに津田を見れば、「あと、それはなに?」と今度はテーブルの上の箱が指差された。
ケーキ?と問いかけてくる津田に「違うけど、これは後で」と返して、夏歩は箱を冷蔵庫に運ぶ。
着替えを手にして、今度は呼び止めなかった津田とすれ違うように部屋を出て、夏歩はお風呂場へ。
脱衣所で脱いだ服を洗濯カゴに放り投げると、浴室へと続くすりガラスのドアを開ける。
溜まっていた蒸気がむわっと溢れ出して夏歩を包むと、それだけで冷えた体がホッとした。
全身をシャワーで軽く流したあと、念願の湯船に身を沈めると、冷えた体に湯船のお湯は少し熱かった。