素直になれない夏の終わり
ちょっと長湯しすぎたような気はするけれど、自分の足でこうして歩けているのだから平気だろうと、夏歩は被っていたタオルでガシガシと頭を拭きながら、津田の前を通り過ぎる。
「あっ、そうだ。なっちゃんは、福神漬けいる?」
思い出したような津田の問いかけに、夏歩は「ん?」と振り返る。
「今日の夕飯は、カレーにしたから。匂いで気付かなかった?」
「ああ、うん。そう言えばそんな匂いがしてた」
特に食べたいものが思いつかなかったので、夏歩は津田に夕飯のリクエストをしなかった。
その結果、本日の夕飯はカレーライスとなったようだ。
「で、福神漬けいる?」
二度目の問いに、背中を向けながら「うん」と答えて、夏歩はコンセントの前に座り込む。
タオルでガシガシと水気を拭きとったところに、ドライヤーの温風をガーッと当てて、乱れた髪は手櫛で整えて終わり。
見ていた津田が、「もうちょっと丁寧にやったら?」と苦笑する。
「いいの。どうせ放っておいてもそのうち乾くんだし」