素直になれない夏の終わり
夏歩はドライヤーを片付けながら答えて、その辺に置いておくとまた津田から小言が飛んでくるタオルを、ハンガーラックにかけに行く。
なっちゃんはやれば出来る子だね、偉いね。と声をかけてきた津田は、振り返りざまに睨んでおいた。
「そんな偉いなっちゃんにちょっと手伝って欲しいことがあるんだけど、こっち来てくれない」
無視してやろうかと思ったけれど、「ねえ、なっちゃん。ねえねえ、なっちゃん。おーい、なっちゃん」と鬱陶しいので、夏歩は仕方なくキッチンに向かった。
なに、とぶっきらぼうに問いかければ、津田が調理台の上を指差す。
そこには、カレーライスの盛られた皿が一つ置いてあった。
半分に白いご飯、もう半分にカレールー、そして端の方にはちょこんと赤い福神漬け。
「はい。こっち俺の分で、そっちはなっちゃんの分。両方持って行ってくれる?」
津田は、今しがた盛り付け終えたばかりの皿も調理台に並べる。
“こっち俺の分”と言っていた方が、夏歩の分より少し量が多い。
夏歩は二つの皿を両手に持って、テーブルに運ぶ。