【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「すっかり酔ってしまった美織さんに住所を聞いても要領を得ず、どちらに送り届けたらいいのか判断できなくて、仕方なく僕の家に……。でも彼女はずっと眠っていただけですし、僕は別室で仕事をしていました。なので、本当になにもありません。どうか信じてください」
真っ赤な嘘を、あたかも真実であるかのように最後まで語り終えた勝又さん。
しかし、私自身も彼の嘘を糾弾できないどころか、彼と一緒になって尊さんを騙さなければならない状況に、胸が張り裂けそうだ。
「……そうなのか? 美織」
尊さんが私に向き直り、確認するように尋ねてくる。私はうまく彼を見られず、目をそらしたまま答えた。
「はい……。勝又さんの説明した通りです……」
私の答えを聞いて、尊さんは静かに瞳を伏せた後で、勝又さんに告げる。
「わかりました。この度は私の婚約者がご迷惑をおかけして申し訳ありません。彼女をここまで送り届けていただき、感謝します」
尊さん……。本当は、あなたが頭を下げる必要なんてないのに。勝又さんは、内心ほくそ笑んでいるに違いないのに。
声にならない叫びが、胸の内に響いた。