【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「……可愛い婚約者はこんなこと言ってるけど、どうする?」
「愚問だな。そんな生き地獄選ぶんだったら、お前が俺殺しの罪で刑務所にぶちこまれて、二度と美織に近づけないようにする方を選ぶ」
「尊さん……! どうして……っ」
どうしてそうまでして、私を守ろうとするの……?
思わず尊さんのそばに膝をつき、その体にすがろうとするけれど、彼はそれを拒否するように身を引いた。
とっさに傷ついた顔をしてしまった私を、彼はこの上なく愛しそうに見つめて諭す。
「どうしてって……お前を愛しているからに決まっているだろ。美織のことは、命に代えても守りたい存在なんだ。……お前に出会えて、本当によかった」
「尊さん……」
やめてください……そんな悲しい〝愛してる〟は聞きたくない……。
ぼろぼろに泣き崩れる私に、彼は優しく告げる。
「そろそろ、後ろを向いて離れていろ。俺が死ぬところなんて見たくないだろ?」
「う、うう……っ、尊、さん……っ」
そう言われても、離れることなんてできない。私はいやいやと首を振って無理やり彼に身を寄せた。
すると、私たちのやり取りを黙って見ていた勝又さんが、忌々しそうに吐き捨てる。
「……いい加減にしろよ。そんなにくっついていたいなら、望み通りふたりまとめてあの世に送ってやる」