【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
そして、瞳に明らかな殺意をたぎらせた彼が、引き金を引こうとした瞬間だった。
「やめんか! 烈!」
部屋のドアがバン!と勢いよく開いたのと同時に、どすの利いた男性の声が響き渡った。勝又さんの瞳はドアの方に固定され、驚きに見開かれている。
「お……おやっさん……」
尊さんはその隙だらけになった勝又さんを見逃さず、素早く立ち上がって二つ目の拳銃をその手から取り上げた。勝又さんは抵抗せず、腑抜けたように立ち尽くしていた。
「よかったね、虎之助さん……間に合って」
その時、ドアの方から今度は聞き慣れた声がして、思わず振り向いた私は自分の目を疑った。
「お祖母ちゃん……どうしてここに……」
そこにいたのは、厳めしい顔つきをした七十代くらいの男性と、彼と寄り添うようにして立つ祖母の姿だった。
虎之助さんと呼ばれた男性は一直線に勝又さんの元へ歩み寄ると、彼の頬をためらいなく平手で打った。はずみで勝又さんの眼鏡が外れ、カチャンと床に落ちる。