【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

「だめです、尊さん……私のことは、いいから」

必死になって涙声で訴えるのに、尊さんは優しく微笑むだけだった。首に回されていた勝又さんの腕がするりと解かれ、妖しく光る黒い銃は改めて尊さんを標的にする。

「そこに膝をつけ。手は上げたままな」

勝又さんが冷酷な声で彼に命令し、尊さんはそれに従った。

なんとか彼を助けられないかと、縛られた手首を忙しくこすり合わせてみるけれど、きつく結ばれたネクタイは解けそうにない。

……私はどうしららいいの? 愛する人の命の危険を、このまま黙って見ているしかないなんて、耐えられない……。

涙があふれて揺れる視界の中で、勝又さんはとうとう床に膝立ちになる尊さんの目の前に立ち、彼の額に向けて銃を構える。

「やめて……私、私……勝又さんの妻になりますから……! あなたの望むことはなんでもします……! だからお願い、尊さんを撃たないで……っ」

ソファから立ち上がり、フラフラと勝又さんに歩み寄りながら、懇願する。勝又さんは口角をひゅっと上げて尊さんを見据え、彼に尋ねた。

< 193 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop