【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「馬鹿……無茶をするな……!」
痛いくらいの腕の強さが。悲痛な声音が。私を心から心配していたと語っているようで、胸が詰まった。
「ごめ……なさ……」
「いや……俺の方こそ悪かった。怖い思いをさせたな」
「いいんです、そんなの……。もとはと言えば私が……!」
私が、あんな男性と知り合いになってしまったから。
弱みを握られてしまったから。
そう続けようとした私に、尊さんはそっと体を離して信じられない事実を告げた。
「だいたいのことはわかっているつもりだ。あの男に写真も見せられた。……だからって、俺の心がお前から離れるなんてことは絶対にない。だから、もう不安にならなくていい」
「尊さん……」
あの写真を目にして。私が嘘をついていたと気づいて。それでもなお、あなたは私を愛してくれるというの……?
胸の内で問いかけたその質問に答えるかのように、尊さんは目を閉じて顔を傾け、私の唇をそっとふさいだ。触れるだけの優しいキスが、今までの苦しみを穏やかに溶かしていく。
数秒後に彼の唇が離れていくと、胸の中には甘い名残惜しさとともに、今まで以上に彼を愛しく思う気持ちがあふれていた。