【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
勝又さんが去ってからしばらくすると、大勢の警察官が事務所内に入ってきて、捜査を始めた。
その中にひとりだけ女性の私服刑事さんがいて、私がソファで休ませてもらっている間、尊さんはきびきびとほかの警察官たちに指示を出す彼女に声をかけていた。
「……遅いんだよ突入が」
「しょうがないでしょ、誰かさんが無線壊しちゃうから」
「ひとりで五~六人と格闘してたんだ。気づいたらなかった」
「あっそう。それに、私たちが待機してたらあの親分とご夫人がどこからともなく現れて〝交渉はわしがやる〟なんて言うから」
「ま、結果的に死ななかったからいいけどな」
気軽に会話を交わす彼らを、古い友人同士なのかな、なんて予想してぼうっと眺めていたら、尊さんが彼女を連れてこちらにやってきた。
「そういえば、バタバタしてたから遅れたが、やっと紹介できる。彼女が婚約者の美織だ」
いきなり刑事さんに紹介され、私は慌てて頭を下げた。
「沖田美織と申します……!」
「あらま~、ホントに可愛いお嬢さんだこと! はじめまして、私、警視庁の新條直美です」