【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
新條、直美さん……。その名前にどことなく引っ掛かりを覚えてモヤモヤしていたら、尊さんがゴホッと咳払いをして言う。
「というわけだから直美、二度と俺に連絡してこないように」
その気まずそうなそぶりを見て、私は直美さんが以前電話してきた女性だと気づく。
「はいはい了解。美織さん、あと少しだけお話うかがったら帰れますから、ご協力くださいね。これに懲りて、もう裏社会の奴らと関わり合いになっちゃだめよ。じゃ、お幸せに」
さっぱりとした口調で言って、また捜査に戻っていく彼女の凛々しい姿を見つめながら思う。
なんだか想像していた女性と違ったな……。もっとこう、女豹という言葉が似合うような、色っぽくて抜け目のない女性が相手だとばかり思っていた。
けれど本物の直美さんは気持ちいいほどさばさばした女性で、尊さんに対しての未練もなさそうだし、尊さん自身も私を堂々と紹介してくれた。
やきもきする必要なんて、まったくなかったのだ。
これからも、私は尊さんを信じていればいい。命を呈して私を助けようとしてくれた彼の愛に、疑いの余地なんて一切ないのだから。