【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~


母はホッとして思わず浮かんだ涙を拭いつつこう言って笑った。

「……まったくだわ。でも、すでに鞍馬さんにたっぷり叱られたでしょうから、お母さんは別のことを言うわね。……美織がそんな勇気ある行動をしたと知って、本当に驚いた。だけど、そんな娘のことを誇りに思うわ」

「お母さん……」

まさか、今回の無鉄砲な行動を褒められるとは思いもよらず、私は目を丸くする。すると、母の隣にいる父も頷きながら話す。

「その理由も、母から聞いたよ。美織は、銀行内の不正をただそうとしてくれたんだろう? お前がまっとうな子に育ってくれたこと、本当にうれしく思う。……血なんか関係ないと証明してくれたようで」

「……血?」

思いもよらぬワードが飛び出し、私はきょとんとして首を傾げる。すると、今まで静かにお茶を飲んでいた祖母が、湯呑みをテーブルに置いて口を開いた。

「美織。ちょっと長くなるが、聞いてくれるかい?」

「……う、うん」

それから祖母がゆっくり語りだしたのは、我が沖田家と、今回の騒動の原因である勝又組との意外過ぎる接点だった。

< 202 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop