【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「なんだよ」
「いえその……最初にそんな味の濃いものを食べるなんて、邪道ではないかと」
咎めるように言うと、尊さんは不本意そうにこう返す。
「あのな、普段は俺だって寿司を食べる順序くらいわきまえてる。でも、隣にいるのが妻である時くらい、気にせず好きなものから食べたっていいだろ?」
好きなものから……。いいの? そんなことして。なんだか子どもみたい。
「……納得いってなさそうだな。じゃあ大将に聞いてみよう」
尊さんは苦笑して、美しい動作で寿司を握っている大将に尋ねた。
「大将、どう思います? やっぱり寿司屋としては、白身とか淡白な味のものから食べ進めてほしいですか?」
大将は手の動きを止めず、かすかに笑って答える。
「職人になりたての頃は私もそう思ってましたがね。結婚して家内と一緒に店をやるようになってから、家内に言われたんです。〝お客さんの好きなように食べてもらって、美味しかったと言われるのが一番いいじゃない〟って。そんな単純な理屈にスッと納得させられちまいまして。それからは、あまり気にしなくなりました。順序やなんかににこだわりすぎて心がくつろげなかったら、意味がありませんからね」