【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
対応したのは私で、支店長室にその男性を通してお茶をお出しした。
すると彼は長い脚を組み、この部屋は禁煙だと入り口に書いてあったはずなのに紙煙草を取り出してぷかぷか吹かしだすという、なんとも高圧的な態度。
支店長も支店長で、慌てて灰皿を彼に差し出していた。
誰なんだろう、このお客さん……。疑問に思いながらも、お茶を出し終わった私はすぐにふたりの元を離れドアの方に向かう。と、同時に眼鏡の男性が口を開き、ぞくりとするほど冷徹な声で話し出した。
「この前はできるって言わなかったか?」
「いや……もう少し考えさせてください。なにしろリスクが大きいので」
「リスク……? そんなことを言っている場合なのか?」
「いえいえ! 自分の立場はわかっております。ただ今しばらく猶予を……」
支店長が必死にすがるような声で話すのを聞きながら、私はドアを出た。
な、なんか、激しく気になる会話だったんですけど……。あのお客さん、いったい何者?
私が応対したときは和やかな感じだったのに、支店長を前にしたら急にふんぞり返っちゃて……。まさか、悪い商売の人じゃないよね?
支店長のことが心配になりながらも、私が口を挟める事でもないだろうとその場を後にするしかなかった。