その少女は夢を見る
斎藤「…副長、桜宮の小姓…やはり俺以外にしてください。」
土方「斎藤…」
斎藤「…分かり合える気がしません。」
『分かり合おうって気持ちがまずないやー。』
命を粗末にするな、とか言う偽善吐く人と仲良くなんて出来るわけもないからね。
普通の人は、彼の言葉が正論だとでも言うのだろう。
沖田「…で、土方さんのも断固拒否みたいですし…僕で良いんじゃないですか?」
土方「…それもそうか。」
流石に今の言い合い(?)を見た後だと反論も出来ないらしく、大人しく頷く。
『じゃーよろしくお願いします、沖田様。』
沖田「うん、よろしくね。」
そう笑顔で言ってくる沖田様。
…何故か少し心が痛んだのは、どことなく雰囲気がたけちゃんに似てたからかな、なんて思う。
たけちゃんこと青本尊は、沖田様とは違うけど…いつでも笑いかけてくれたから。
そんなたけちゃんから笑顔を奪ったのも僕…それなのに、死ぬときが遅かったかな、なんて。
今余計なことを言えば、余計にみんなとの間に溝が出来る。
別に良いけど…歴史がどうの、っていうのならそれは辞めておくのが身のためだろうから。
神羅〈…千雨、〉
ああそうか…神羅さんは、ずっと僕のことを見ていたんだっけ。
それなら今はきっと…複雑な感情になっているんだろうな。
『…後悔なんてしてませんよ、ここに来たこと。』
本当に小さく、誰にも聞こえないようにそう告げる。
そうすると神羅さんは、何故か悲しそうに…それでいて嬉しそうに、微笑んだ。
…誰かが笑ってくれるなら、僕はそれで良いんだ。