その少女は夢を見る
天逆毎丸って何かやばい刀らしいよ。
『それってこの刀のことですよね?』
そう言いながら、その刀を腰から外して置く。
神羅〈そーそー。天逆毎丸…天逆毎っていう女神は知ってる?〉
『前最強妖怪で調べた時一番上に三人ほど並んでて、そこに居ましたね。』
そう言えば、“知ってるだけ説明楽でありがたい”なんてにこにこしている神羅さん。
神羅〈天逆毎っていう女神はね。
神であるスサノオが体内にたまった猛気を吐き出し、その猛気が形を成すことで誕生したとされているんだ。
姿は人間に近いものの、顔は獣のようで、高い鼻、長い耳と牙を持っている。
物事が意のままにならないと荒れ狂う性格で、力のある神をも千里の彼方へと投げ飛ばし、鋭い武器でもその牙で噛み壊すほどの荒れようだとされてるの。
しかも、天邪鬼のように物事をあべこべにしないと気の済まない性格で、前のことを後ろ、左のことを右などと言ったという。
自分と同じように、自分ひとりで子供の天魔雄(あまのさく)をもうけるんだけど、後に天魔雄は九天の王となり、荒ぶる神や逆らう神は皆、この魔神に属した。
彼らが人々の心に取り憑くことによって、賢い者も愚かな者も皆、心を乱されてしまうとされている。
まあこう言った感じかなぁ…天魔雄についてはそこまで覚えなくても良いけどね。〉
思ったよりも詳しい説明をされて混乱しかけてる桜宮ですどうも。
『…ほう?それで…?』
神羅〈まあここまでは日本神話の中の物語だよ。
天逆毎にはもう少しお話があってね…って言っても、これは人間には伝えられてなくて、神とか妖怪とかしか知らないんだけどさ。〉
『やっぱり神羅さんって腐っても神なんですね。』
神羅〈腐らなくても神なんだけどなぁ…!?〉
酷いと言うかのようにしくしくと泣き真似をしてくる。
良い年した男が何を泣き真似なんてしてるんだ。
神羅〈確実千雨のせいなんだけどその辺どう思います?〉
『どうも思いませんかね。』
神羅〈これは少し泣いても仕方ないと思うな…?〉
一々うるさいな、説明するならしろよ。
神羅〈分かりましたよしますよ!!〉