その少女は夢を見る

不思議な青年曰く、僕はこれからタイムスリップするらしい。



宙に舞った僕の体は…どうやら地面に打ち付けられることはなかったらしい。



何故か痛みも何も感じない。



それどころか…落ちていく感覚さえも感じない。



何故だと思いながら目を開けると…そこは、白く何もない空間だった。



『…死んだのか。』



走馬灯も何もなかったな…死にかけた時の走馬灯、ってあれ嘘なのかな。



あくまで死にかけで、戻って来る人だけが見れるものって言われたら納得行くかも。



死んだというのにそんな呑気な事を考えている僕の頭は、中々動かすことの出来る悪くない脳を持っているのかもしれない。



そんなことを考えながらぼーっとする。



「来た来た来た来た!!君が!!」



何故かハイテンションな人がそう言いながら僕の肩を掴みがくがくと揺さぶる。



痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い



『痛いんですけど!?!?』



そう大声を出すと、しまった、と言いたげに目尻を下げながら僕を覗き込む。



見たところ僕と変わらないくらいの男の人…顔はよく整っている。



イケメンめ、滅べ(真顔)



「いやいやごめんごめん〜驚いたし嬉しかったんだよね〜。」



間の伸びた喋り方をしながら、その場に座る僕の隣に座ってくる。



パーソナルスペースって知ってるか?



僕はその自分の空間と言われるパーソナルスペースに入られるのが大っ嫌いなんだ??



そんなことを思いながら彼を見遣れば、



「そんなに睨まないでよ!?ね!?」



なんてあからさまに動揺しながら言ってくる。



そんなに睨んでいたのだろうか。



『何処の誰かも知らない人がいきなり勢い良く肩を掴んで揺さぶって来た挙句距離も取らずに隣に座ってきたら誰でもこうなるとは思いますが。』



息を吸うこともせずに一気にまくしたてれば、ごめんって!なんて言いながら僕を上目遣いで見てくる。



良い年した男が何してんの、キモいんだけど。



「何かすっごい暴言吐かれた気がするの気のせいかなぁ!?」



『人の心を読むのがいけないんです。』



「それはごめんなさい!?」



ほんとに読んでたのかよデリカシーないな。



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