一途な執事と甘いティータイム
校門が見えてきた頃、有嶋は私の横に並んで家を出てから初めて口を開いた。
「お嬢様、もし何かありましたらすぐにお知らせください。私は菓乃お嬢様の執事です。俺は菓乃を必ず守る」
「……え?」
立ち止まり、まわりの視線を避けるように俯いていた顔をあげた時には、もう有嶋は隣にいなかった。
だいぶ前を友達であろう男子と一緒に歩いていた。
……ティータイムじゃないのに菓乃って呼んだ?
私に言ったわけではないかもしれない。
有嶋自身の何かの決意のように聞こえた。
「……っ」
次第にまわりのザワザワとした声が聞こえて、一瞬止まっていた時間が動き出す。
視線がいたい。
その場の空気に気持ちが悪くなり、足早に教室へと向かった。