一途な執事と甘いティータイム


***



「また休み明けね」と美菜子と別れ、ついにやって来てしまった魔のゴールデンウィーク。



美菜子はこの休みの間、家族で旅行に行くらしい。



なんて羨ましいんだろう。



私だって気兼ねなく旅行に行ってみたい。



仕事で忙しいからと、接待で地方や海外へ行ったことがあっても、娯楽だけを求めて自由な旅行はしたことがない。



そんな私にとっては美菜子の家庭がとても楽しそうで羨ましく思えた。



昨日の夜、有嶋が持ってきた届いたばかりという特注のドレスが私の部屋にかけてある。



パーティーの主催者であるTiGがデザインした世界で一つだけのドレス。



シフォン素材でできていて、とてもふんわりとしたデザイン。



ウエストのサイドにあしらわれたリボンがとても可愛い。



5月ということもあって菜の花をイメージしたのか、カラーは黄色のドレスだった。



可愛いものは嫌いじゃない。



問題のパーティーは今日の夕方から。



ちょうど昼食を食べ終えたばかりだから、まだ時間はあるけれど、既に気持ちは憂鬱だった。



< 30 / 267 >

この作品をシェア

pagetop