一途な執事と甘いティータイム
挨拶回りをしたあと、どうパーティー会場を抜け出そうか……と何度もイメージトレーニングをしながら残りの時間を過ごした。
刻一刻と近づく嫌な時間。
───コンコン
「お嬢様、入ってよろしいでしょうか」
「……どうぞ」
この綺麗な声は、いつも私のドレスの着付けやヘアセットをしてくれるおばあちゃんだ。
このおばあちゃんは、結構好きだったりする。
物心ついた時から、生活のあれこれを教えてくれたのはこのおばあちゃんだった。
私にはお母さんがいない。
……というのも、私がまだ幼稚園に通うほど小さい頃にガンで亡くなってしまった。
そんな時に母親代わりとして助けてくれた。
今では私にとって第2の母親という大切な存在なんだ。
「あらまぁ、なんて綺麗なドレスなの!?」
おばあちゃんはもう70近いはず。
それなのにピンピンとしていて、こんなにも元気。
おばあちゃんの笑顔を見ると私も笑顔になれる。