一途な執事と甘いティータイム



「ドレスは本当に可愛くて綺麗なんだけどね……」



「どうかされました?」



深くため息をつく私に、おばあちゃんは心配そうに問いかけてきた。



「パーティーに行くの憂鬱だなって」



「菓乃ちゃんは本当にパーティーが苦手ですね」



「だってあの堅苦しくて嘘を塗り固めたようなパーティーなんてパーティーじゃないんだもん」



「私は参加したことがないのでわかりませんが……いろいろと大変なんですね」



おばあちゃんは私の気持ちを受け止めてくれる。



小さい頃から一緒にいたっていうこともあると思うけど、おばあちゃんは私のことを2人きりの時は、名前で呼んでくれる。



おばあちゃんと一緒にいると自然体でいられるような気がして、とても落ち着くんだ。



「そういえば有嶋は?」



そういえば今日の朝もご飯の準備ができたことを知らせに来てくれたのもおばあちゃん。



今日はいつも鬱陶しい有嶋の姿を見ていない。



「有嶋くんは今日お休みですよ。執事をしながら学生もって大変だろうによく頑張っていますよね」



そんなおばあちゃんの言葉を聞いて、今日は休みなのだと知った。


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