イケメン不良くんは、お嬢様を溺愛中。
「あなた方の仲がいいのは、わかりました」
「じゃあ、愛菜には近づくなよ。これ以上虫が増えると、追い払うのが面倒くせぇからな」
それってまさか、雅くんのこと?
というか、王子様を虫呼ばわり……。
また学くんに怒られちゃうよ。
ううん、今度こそ抹消されちゃう!
恐ろしくて学くんのほうを見れないでいると、ディオくんは首を横に振る。
「答えはノーですね。婚約しているわけでは、ないのでしょう? なら、まだ私にもチャンスがあるということです」
「結局こうなるのかよ……」
宣戦布告するような強気なディオくんに、疲労困憊の剣ちゃん。
ふたりを見つめながら、私はハラハラしてしまう。
これからどうなっちゃうの……!?
昼休み、私と剣ちゃんと萌ちゃんは学くんの手伝いで、一緒にディオくんに校内を案内することになった。
もちろん、朝のホームルーム前に私から申し出たことだから断りはしなかったけれど……。
ディオくんに出会ってからだったら、全力で断っていたと思う。
だって……。
私は両脇にいるふたりをチラリと見る。
「愛菜、愛菜は日本の政治家の娘なんですよね? でしたら、身分も相応。あなたをプリンセスに――」
「させねぇからな、ディオ。あと、気安く愛菜の名前を呼ぶんじゃねぇよ」
いつ修羅場に発展してもおかしくない!
ここから逃げたい!
私は助けを求めるように背後を振り返る。
すると、学くんは明後日の方向を見ていて、萌ちゃんはグッドラックと親指を立ててウインクしてきた。
ううっ、助けは期待できない。
自分で乗り切るしかない。
無意識のうちに逃亡経路を探していると、ディオくんが前髪をさっと手で払いながらため息をつく。
「剣斗、余裕がない男は嫌われますすよ」
「節操がない男もどうかと思うけどな。女ならほいほい口説く癖、早々に改めたほうがいいんじゃねぇの?」
売り言葉に買い言葉。
もはや、ふたりは校内をただ歩いているだけ。
説明もしていないし、見てもいない。
そういえば、授業中も……。
剣ちゃんは体育の剣道で、ディオくんは英語で競い合っていて、ずっとバチバチしていた。
「ふたりとも、仲良くはできないのかな? せっかく同じクラスになれたんだし……」
それにディオくんは一ヶ月しか学園にいられない。
言い争いばかりで留学期間が終わっちゃうのは悲しい。
できれば、いい思い出を作って帰国してほしいんだけど、それは難しいのかな。
「すみません、それは愛菜のお願いでも厳しいですね」
ディオくんは申し訳なさそうに目を伏せると、許しを乞うように腰をかがめて私の手を取った。
「じゃあ、愛菜には近づくなよ。これ以上虫が増えると、追い払うのが面倒くせぇからな」
それってまさか、雅くんのこと?
というか、王子様を虫呼ばわり……。
また学くんに怒られちゃうよ。
ううん、今度こそ抹消されちゃう!
恐ろしくて学くんのほうを見れないでいると、ディオくんは首を横に振る。
「答えはノーですね。婚約しているわけでは、ないのでしょう? なら、まだ私にもチャンスがあるということです」
「結局こうなるのかよ……」
宣戦布告するような強気なディオくんに、疲労困憊の剣ちゃん。
ふたりを見つめながら、私はハラハラしてしまう。
これからどうなっちゃうの……!?
昼休み、私と剣ちゃんと萌ちゃんは学くんの手伝いで、一緒にディオくんに校内を案内することになった。
もちろん、朝のホームルーム前に私から申し出たことだから断りはしなかったけれど……。
ディオくんに出会ってからだったら、全力で断っていたと思う。
だって……。
私は両脇にいるふたりをチラリと見る。
「愛菜、愛菜は日本の政治家の娘なんですよね? でしたら、身分も相応。あなたをプリンセスに――」
「させねぇからな、ディオ。あと、気安く愛菜の名前を呼ぶんじゃねぇよ」
いつ修羅場に発展してもおかしくない!
ここから逃げたい!
私は助けを求めるように背後を振り返る。
すると、学くんは明後日の方向を見ていて、萌ちゃんはグッドラックと親指を立ててウインクしてきた。
ううっ、助けは期待できない。
自分で乗り切るしかない。
無意識のうちに逃亡経路を探していると、ディオくんが前髪をさっと手で払いながらため息をつく。
「剣斗、余裕がない男は嫌われますすよ」
「節操がない男もどうかと思うけどな。女ならほいほい口説く癖、早々に改めたほうがいいんじゃねぇの?」
売り言葉に買い言葉。
もはや、ふたりは校内をただ歩いているだけ。
説明もしていないし、見てもいない。
そういえば、授業中も……。
剣ちゃんは体育の剣道で、ディオくんは英語で競い合っていて、ずっとバチバチしていた。
「ふたりとも、仲良くはできないのかな? せっかく同じクラスになれたんだし……」
それにディオくんは一ヶ月しか学園にいられない。
言い争いばかりで留学期間が終わっちゃうのは悲しい。
できれば、いい思い出を作って帰国してほしいんだけど、それは難しいのかな。
「すみません、それは愛菜のお願いでも厳しいですね」
ディオくんは申し訳なさそうに目を伏せると、許しを乞うように腰をかがめて私の手を取った。