明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

勤務は明日からということで、一ノ瀬さんが手配してくれた長屋の借家にも案内された。

これも佐木さんが頼んでくれたらしい。


「急だったからここしか確保できなくて……。もう少しいいところをと思ったのですが」


たしかに少し古い建物ではあったがこれで十分。

いくら給金を弾むと言われても、この子にお金がかかるから、家賃が高くても困る。


「いえ。本当になんとお礼を言っていいか……」

「いえいえ。佐木はきっと真田さんを自分で守りたかったと思います。奥さんを亡くして塞いでいたのに、真田さんと直正くんと一緒にいると楽しくてたまらなかったと言っていましたから」

「そんなことを?」


迷惑ばかりかけていると恐縮していたけれど、そう思っていてもらえたのならありがたい。

直正をかわいがってくれる佐木さんのおかげで、楽しい時間を過ごすことができた。
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