明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「よく頑張ったね」
「先生は?」
朦朧としていたが、佐木さんが来てくれたことはわかっていたらしい。
「先生、お薬くれたんだよ」
「もう来ない?」
「そうだね」
直正はがっかりした様子で肩を落としている。
元気な姿で会いたかったんだろうな。
「きっとまた会えるよ」
「うん」
ずっと食べていないせいでお腹が空いたという彼におかゆをこしらえて食べさせると、完食してくれたのでひと安心。
けれど体力が奪われているのか、すぐに横になり再び眠りについた。
彼の寝顔を見てホッとしていると、玄関の戸を叩く音がしたのでドクンと心臓が打つ。
「信吾さん?」
心細くて彼に会いたくてたまらなかった。
憎しみを向けられているのに頼るなんておかしいとはわかっていても、信吾さんがいると心強いのだ。
はやる気持ちを抑えきれず玄関に駆けつけたが、開く様子はない。
しかし人影があるので、以前のように酔っているのかもしれないと開けた。