明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「佐木さん……」
「こんな時間にごめん。明日の朝帰ることになって、ようやく時間ができたんだ。直正はどうかな?」
まさか様子を見に来てくれるとは。
「今晩になって熱が下がってきました。さっきおかゆも食べられて。どうぞ」
恩人に立ち話なんてと中に促すと、佐木さんはすぐに直正の診察を始めた。
「本当だね。下がってきた。もう安心だよ。真田さんは平気?」
「少し喉が……」
正直に喉が痛いことを伝えると、今度は私の診察まで。
「口を開けてごらん?」
「はい」
「あー、少し赤くなってるね。一緒にいたら移るのは仕方ない。熱は?」
彼は手を伸ばしてきて、私の首筋に触れる。
「まださほど高くないみたいだけど、これから上がるかもしれない。困ったな。俺は横須賀に帰らないといけない。真田さんが寝込んだら、直正を預かってくれる人いる?」
「……いえ」
頼れる人なんていない。