明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
佐木さんの言葉に驚いている信吾さんは、私をチラリと見る。
「ご存じなかったんですね。きっと徹夜で看病したでしょうに。そんな中途半端にふたりを縛ってなにがしたいのです? 愛しているんですか? それとも憎いから? 真田さんの父が犯した罪は彼女の罪ではないでしょう?」
佐木さんの叱責に信吾さんは当惑の色を見せる。
「これ以上、彼女と直正を傷つけるなら、私が引き受けます。一旦横須賀に戻りますが、迎えに来ます」
「そんなことはさせない」
「それは愛ですか?憎しみですか?と聞いているんです」
緊迫した空気が漂い、息をするのが苦しいくらいだ。
口を挟もうにも、なにを言ったらいいのかわからない。
「愛、です。俺は八重を愛している。誰よりも八重のことを愛している」
すると、一瞬の間ののち信吾さんがはっきりと言い放つので、私も佐木さんも目を丸くする。