明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「でもなんとかしますから、大丈夫です」
「なんとかするって、無理をするってことだろ? 医者としてそんなことは許可できない。いや、真田さんがフラフラになるのは見ていられない」
彼は私の手を握り、真剣な表情を作る。
「やっぱり、横須賀に来ないか? こういうことがあっても助けてやれる。心配でたまらないんだ」
「八重」
そのとき玄関が開く音がして信吾さんの声がしたので、慌てて握られていた手を引いた。
すぐに部屋に入ってきた信吾さんは、佐木さんを見つけて怒りの形相を浮かべる。
「お前……たしか横須賀の。俺のいない間に、八重になにをした?」
「大きな声を出したら直正が起きます」
冷静に答えた佐木さんは、信吾さんに鋭い視線を送る。
そして私たちを目で促して居間に移動した。
「直正が熱を出して臥せっていたので診察に来ました。真田さんも移ってしまったようで、おそらく今晩辺りから熱が出だすでしょう」