明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

厳しめの口調で釘をさされ「承知しました」と他の学生とともに声をそろえたが、警察隊と聞いて胸騒ぎがする。


「黒木さん……」


日比谷なら警視庁からも派遣されているに違いなく、彼もそのうちのひとりかもしれない。

無事だろうか。

銀座でかき氷が食べたいなんて呑気なことを思っていた自分が恥ずかしい。


その日は急ぎ足で家に帰り、てるに新聞を頼んだ。

自分から読みたいと言ったのは初めてのことだったので、てるは「どうされましたか?」と怪訝な顔をしている。


「ちょっと気になることがあってね」


私は確認するように声に出して読み始めた。


「約三万人が日比谷公園に集結し、警察隊と衝突しながらも集会を終えた。しかし、暴徒化した者が内務大臣官邸、警視庁、警察署、新聞社を襲撃。巡査は抜剣して取り鎮めにあたったが……」


警視庁まで襲撃されたの? 
抜剣してって……。黒木さんは?
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