明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

翌日には女学校が再開したものの、私はどこか上の空。


「真田さん、聞こえていますか?」
「申し訳ございません」


先生に注意されて、背筋を伸ばす。
けれども、黒木さんのことばかりが頭をよぎり、とても勉強に身が入らなかった。


女学校では、火曜に起こった事件も土曜にもなるとさほど話題には上らなくなる。

それは皆が、〝私たちには関係がない世界〟のことだと思っているからだろう。


しかし私は土曜の半日の授業が終了すると、人力車をつかまえて警視庁へと向かった。

母には友人とともに勉強をするとあらかじめ嘘をついてある。


日比谷の近くを通るときはさすがに緊張が走ったが、喧騒はまったく感じられない。
しかし、焦げ臭いにおいが鼻を突き、顔をしかめた。


鍛治橋の警視庁は一部が突撃されていた。

到着したものの、建物は思いのほか広くどうしたらいいのかわからない。

私は黒木さんと同じように制服に身を包んだ人をつかまえて尋ねることした。
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