明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

「明日は非番なのですが、どちらかでお会いできませんか? 銀座のあたりは今回の事件でちょっと……。なので、和菓子舗には行けませんが」
「いいんですの!? ……はっ、失礼しました」


品のある所作をと、日々口を酸っぱくして言われているというのに、喜びのあまり大声が出てしまい口を押さえる。


「もちろんです。お父さまに、叱られないでしょうか?」
「友人と勉強をするということであれば、大丈夫かと」


父に何度も嘘をつくのは忍びないが、そうでもしなければ黒木さんとの時間を持つことは叶いそうにない。


「警察官が嘘をつかせるなんて、いけませんね」


そんな返事に肩を落とす。
やはり、無理だろうか。


「ですが、是非お願いしたい」
「はい」


彼の言葉に目を見合わせて笑い合った。


それから私をしばらく待たせておいた黒木さんは、巡回に出ると断りを入れたあと、再び人力車で家の近所まで送ってくれると言う。
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