明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
ふみさんは若く見えるが、女中頭なの?
あとのふたりと比べると、纏う着物の質が違う。
目の前のティーカップになみなみと紅茶を注がれ、お砂糖も入れてもらった。
三人が出ていこうとすると「ふみ」と恒さんが呼び止める。
すると彼女は彼の隣までやってきて、私にお辞儀をする。
「あらかじめ紹介しておこう。ふみだ。彼女は私の幼なじみなんだ」
どうりで、女中とは違うと感じたんだ。
「初めまして。真田八重です」
私も立ち上がり何度も練習してきた動作で、丁寧に腰を折る。
「斉木(さいき)ふみと申します」
彼女の声は健気に咲く菫のような可憐さを纏っている。
「ふみは私の想い人でね。今後もこの屋敷に顔を出すと思うが、仲良くやってくれ」
恒さんにそう告げられたものの、言葉の意味を呑み込めない。
想い人?
呆然としていると、彼は続ける。
「清水家は由緒ある家柄だ。私はそれを守らねばならない。八重との間にも子を設けるつもりだが、爵位は男にしか継げない。だから、子は多いほうがいい」