明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

それからの一週間は、魂が抜けたかのようになにをする気力もなく、女学校も休みがち。

けれども、輿入れが決まり中退することも決定事項なので、父も母もなにも言わない。

ただ、たおやかな所作に磨きをかけて一層恒さんに好かれるようにと、行儀にはますます厳しくなり、今まで以上に窮屈な生活を強いられた。

両親にはふみさんの存在を話せなかった。

それとなく、「本当は恒さんに想う方がいらっしゃるのでは?」と切り出したものの、「そうだとしても、妻となるのは八重なんだ。八重を選んだのは清水家なのだから、お前はただお仕えすればいい」と父にきっぱりと言われて、目の前が真っ暗になった。


気持ちなど関係ない。
家と家の結びつきが結婚なのだと改めて思い知らされたからだ。


「このまま……嫁ぐの?」


夜空に浮かぶ三日月をボーッと見つめながら、身を切るようなつらさに耐える。


「黒木さん、助けて」


そう口にした瞬間、一筋の涙がこぼれていった。

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