明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

金曜になり、女学校に行くことにした。
家にいても『恒さん』を連発されるのが苦しいからだ。

しかし学校を前に足が止まった。

おそらく私の婚約を知っている友人たちは、笑顔で祝福してくれるだろう。
でも、少しもうれしくはない私はそれに耐えられるだろうか。

気がつけば校門の前で踵を返し、人力車をつかまえて警視庁に向かっていた。

黒木さんとは土日に会うことが多かったけれど、先週も今週も仕事で会えないと聞いている。

来週まで、こんな悶々とした気持ちで過ごすことなんてできない。
しかも、輿入れの準備は着々と進んでいく。


止める方法があるのなら、止めたい。
けれども私にはその力がない。
黒木さんならあるいは、と思ったのだ。


警視庁の前に着いたものの、足が進まない。

なんと切り出したらいいのだろう。

私は黒木さんに恋心を抱いていても、彼もそうだとは限らない。

私との逢瀬を楽しみにしてくれてはいるが、特に深い意味はないのかもしれない。
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