明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

「真田さん、私を訪ねて?」


苗字で呼んだのは、周りに同僚がたくさんいるからだろう。


「はい。お忙しいのに申し訳ありません」
「いえいえ。失せ物の件ですよね」


そのとき、彼がとっさに嘘をついたのだとわかった。
すると、私を見つけた警察官は、頭を下げて離れていく。


「こちらへ」


彼は私を伴い、人気のない場所に向かった。

迷惑だったのだ。

頭ではわかっていたのに、意にそぐわない婚姻と妾の存在を知らしめられて張り裂けそうな胸の痛みに耐えかね、ついここに足を向けてしまった。


「申し訳あり――」
「会いたかった」
「えっ……」


予想外の言葉に、声がかすれて続かない。


「会いたくて、たまらなかった。来てくれてありがとう」


そう言われた瞬間、こらえきれなくなった涙があふれていく。


「どうしたんですか?」


自分までもが苦しそうに眉をしかめる彼は、ためらいがちに私に手を伸ばしてきて、涙が伝う頬に触れる。

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