明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「私……。私……」
『輿入れが決まったんです』と続けたいのに、勇気がない。
「八重さん。あなたが泣くのはつらい。私があなたのためにできることを教えてください」
私のために? 輿入れを阻止してほしいと懇願したら、叶えてくれるの?
喉まで出かかった言葉を呑み込み、うなだれる。
「女学校は?」
「……行きませんでした。もう、行かなくてもいいんです」
それで伝わるのではないかと、期待を込めて言った。
すると彼は目を見開き、私を凝視する。
「夜の勤務でしたので、もう仕事は終わりです。十分で着替えてきますので、ここで待っていてください」
それは、これから一緒にいてくれるということ?
「はい」
返事をすると、彼は優しい笑みを浮かべて私の頬の涙を拭い、身をひるがえして去っていった。
彼は約束通りすぐに舞い戻ってきて、私の手を引く。