明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

「八重さま! 女学校から出席なさっていないと連絡が入り、お探ししておりました」


と言いつつ、隣の黒木さんに視線を送る。


「この方は……道に迷ったところを助けてくださって」


あまりに不自然な言い訳だと思ったが、とっさにそれしか出てこなかった。


「そう、でしたか。奥さまがお待ちです」
「はい」


私は黒木さんに頭を下げてから、真田家に戻った。

その晩。父は帰ってくると私を自室に呼び出した。


「八重。男と帰ってきたそうじゃないか。恥を知れ!」


すさまじい剣幕でいきなり怒鳴られて、平手が頬に飛んでくる。

厳しくされたことはあったがこうして叩かれるのは初めてで、呆然とした。


「あの方は――」
「嫁入り前の女が、どんな理由があれ男とふたりで人力車に乗ることなど許されん!」


駆け落ちの前に黒木さんの存在を勘ぐられてはまずいと、女中にした言い訳を繰り返そうしたが、聞いてももらえなかった。
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