明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

彼が想い人でなかったとしても〝男性〟というだけでだめなのだ。


「清水家に知られたら婚約破棄になる。しっかりしろ」
「私は……それでも構いません」
「なにっ?」


思い切って口にした言葉が、父の憤怒を誘った。


「せっかく見初めてくださったのに、なんという言い草だ」


もう一度平手が飛んできたが、歯を食いしばって耐えた。

黒木さんと生きていけるなら、これくらいどうということはない。

もう真実をぶちまけよう。そうでなければ理解は得られない。


「恒さんには想い人がいらっしゃいます。彼女に子を産ませたいとおっしゃっていました」

「子を? 妾がいるということか?」

「そうです。彼女にもお会いしました。大変親しげなご様子でした」


娘の幸せを願うなら、破談にしてください。
そう心の中で念じながら、父から視線をそらすことなく伝える。


目を泳がせた父は、一瞬の間のあとグイッと顔を上げて口を開く。

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