明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
父の権幕に目を瞠る。
外出できなければ、黒木さんと会えない。
彼は三日後、あの神社で待っていると言っていたのに。
絶望が降ってきた。
その日は、夕食の席にも顔を出さなかった。
てるがこっそり食事を部屋に運んでくれて、「女中が余計なことをお伝えしたせいで……」と頭を下げるが、間違っても女中のせいではない。
私を主に世話してくれるてると数人の女中以外は、父や母の命令が絶対なのだから。
「大丈夫。てる、いつもお世話をしてくれてありがとうね」
「とんでもございません。私は八重さまがお嫁にいかれるのが寂しくて……。あまり自由にならないかもしれませんが、是非こちらにも顔を出してください」
「うん。そうするわ」
そんな返事をしながら、黒木さんのところにどうしたら行けるのかとばかり考えを巡らせていた。