明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
彼の目をまっすぐに見つめてきっぱり言うと、彼は優しく微笑み「行こうか」と私の手を引いた。
夜中では人力車が捕まるはずもなく、ふたりでひたすら歩いた。
そして、彼があらかじめ用意してくれていた、路地裏にあるひっそりとした宿屋にやっとたどり着いた頃には、東の空が明るみ始めていた。
「こんなところですまない。あまり目立ちたくないんだ」
宿屋は古く、夜具も決して贅沢ではない。
しかし、彼と一緒にいられるならどんなことでも受け入れられる。
「十分です」
「足、痛むだろ?」
ひたすら三時間ほど歩き続けたせいで、草履の鼻緒が擦れて血がにじんでいる。
「あっ、そんなこと……」
私を座らせた彼が足袋を脱がすので、そのようなことを黒木さんにさせるなんてと慌てふためいた。
「痛そうだ。女将に風呂を入れてもらっているから、洗い流そう」
「こんな時間によろしかったのですか?」