明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
普段の外出は大体車夫と人力車をつけられる。
便利で助かる一方、いつも監視されているように感じて息が詰まりそうなのだ。
日用品は御用聞きが家に来るので買いに出る必要もないが、珍しい舶来品などを見て回るのが楽しいというのに。
だから今日は、車夫の準備が整う前にさっさと家を出てやって来たのだ。
しかし、このようなことが起こってしまうとは。
銀座の街を歩いている間は楽しくてたまらなかったのに、やはり車夫を伴ったほうがいいのかもしれない。
「たしかに、気ままに外出できない生活では息苦しいでしょう。ときには自由を謳歌されたいですよね」
「えっ? ……はい」
まさか理解を示してくれるとは。
危険だからひとり歩きをするなと咎められるとばかり思っていた。
「ですが、今日はおひとりでは怖いでしょうし、よろしければご自宅までお送りします」
「いいんですの?」
暴漢に握られた手首に無意識に触れていたからか、彼が提案してくる。