明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
おそらく駆け落ちの相手が警視庁に勤める信吾さんだと調べた上で――いや以前から調べてあったのかもしれない――警察に依頼したのだ。
「離してくれ」
「警部。このまま電車に乗られると、あなたは誘拐犯になります。それでもよろしいですか?」
「そんな。私は誘拐などされておりません」
慌てて口を挟んだが、信吾さんに手で制された。
「クソッ」
信吾さんは固く握った拳を震わせる。
誘拐犯になろうがなるまいが、私たちはここで捕まる。
ふと気づくと、数人の警察官に囲まれていた。
「彼女は関係ない。私が無理やり連れてきた」
「違います」
あきらめたように低い声を振り絞る信吾さんは、「誘拐したんだ。連れていけ」と言い放った。
「違う……」
おそらく彼はわかっていたのだ。
そうすることでしか、父の折檻から私を救えないことを。
「そう、ですか。それでは」
「嫌っ、信吾さん!」
連行される信吾さんに縋りつくと、警察官に腕をつかまれる。