明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

部屋に戻り、呆然と夜空を眺める。

信吾さんが来てくれたのは本当にうれしかった。
けれど、もう会えないという事実を突きつけられて、胸が痛い。


しばらくして、てるがお茶をもってやってきた。


「八重さま。お顔が青いですが……」
「うん。ねぇ、父と横山さんはなにを話していたのかしら?」


私が大広間を出たあと、騒動で駆けつけてきて倒した膳を片付けていたてるは、なにか聞かなかっただろうか。


「はっきりとは聞こえませんでしたし、途中で旦那さまのお部屋に行ってしまわれたので……。ですが、八年前となるとおそらくあの件かと」
「あの件って?」


私が身を乗り出すと、てるは閉まっていた障子を一旦開け、周りに人がいないことを確認してから口を開く。


「実は旦那さまが乗っていらっしゃった馬車が女性をはねたんです。横山さんも一緒にいたようで。のちに、その方は歩けなくなったとお聞きしました」
「はねた?」


そんなことは初耳だ。
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