My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 3
「誤解なのドナ! お願い、私の話を聞いて!」
私は必死な思いで叫ぶ。
さっき言えなかったこと、ちゃんと言いたかったから。
ちゃんと聞いて欲しかったから。
「何が誤解だ! 全部嘘だったんだろ!? セイレーンだってことも!」
「嘘じゃないよ!」
「だったら、今ここで歌ってみろよ」
「え……」
――ギクリとする。
歌えるはずがない。
歌ってしまったら、銀のセイレーンだとわかってしまったら、それこそ彼女の信用はもう絶対に取り戻せないだろう。
そんな私を見て、ドナが小さく笑った。
「ほらみろ。だってお前、あの時もアタシ達の前では歌わなかったもんな」
「あ、あれは」
「うるさいうるさいっ! ばあちゃんと一緒だって、信じたアタシが馬鹿だったんだ……」
ドナは震える声でそう言って俯いてしまった。
「ドナ……」
彼女に近づきたくて私は一歩足を進める。だが同時に彼女は顔を上げ、私を睨み見た。
「モリスに、何をしたんだ」
その声の低さに、私はゆっくりと首を振る。
「……大体、そいつは誰なんだよ! どう見たって傭兵じゃないか!」
ドナが指差したのはクラヴィスさんだ。
「この人は、」
またしても言葉に詰まる。
彼の目的は私にもわからないのに、説明できるわけがない。
当のクラヴィスさんは状況が掴めないためか困惑した表情で私とドナとを交互に見ている。
そんな私たちにドナはとうとう怒りを爆発させた。
「皆で寄って集って……。お前らみんな、ツェリから離れろーー!!」
叫びながらこちらに駆け出したドナ。その手にギラリと光るものが見え私は慌てる。
クラヴィスさんがそれに気付かないはずがない。彼の手が腰の剣に触れるのを見て声を上げようとしたそのときだ。
――ガアァウッ!!
心臓まで響く大きな咆哮に驚き振り向くと同時、私の傍らを風のように金色の獣が走り抜けて行った。