拝啓ヒトラーさん




「春さん、これからちょっと映像を流すから、モニターを見ててくれないかな?」

これから何が始まるのだろう。
分からないままコクコクと頷く。

先生の手が動く。
モニターに、暗い画面が映された。

同時に、ラジオもつけ、パソコンでも映像が流れはじめた。

『1984年3月、江崎グリコの社長が、目出し帽を被った3人組の男たちに自宅から連れ去られるという誘拐事件が・・・』
『今日のおハガキです。ラジオネーム、アイラブゴディバさん。佐藤さん、こんにちは。はい、こんにちは〜』
『本日未明、京都市伏見区の住宅地で火災が発生し、住宅6棟が全焼しました。火元は今現在は不明であり・・・』

3つの声が頭に流れ込んでくる。
モニターではグリコ森永事件のドキュメント番組。
ラジオではアイラブゴディバというラジオネームの人の上司への愚痴と相談。
パソコンでは2日前の朝のニュースが流れている。

20秒ほどそれらを流して、先生は全てを止めた。

「モニターでは何の番組をしてた?」

「グリコ森永事件のやつ」

「ラジオは?」

「アイラブゴディバっていう人の相談」

「モニターは?」

「7月18日の朝6:00からのNHKのニュース」

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