月夜に笑った悪魔
「悪ぃけど今日は俺と美鈴、マンション泊まるから」
振り向いた春樹さんに言う暁。
……マンション?
泊まる?
「では、美鈴さんをこのあとマンションまで送っていきますね!」
「いや、いい。俺が乗せてくから」
「……大丈夫、ですか?」
「美鈴なら大丈夫な気がする」
「わかりました!」
最後に春樹さんは嬉しそうににこりと笑って、走っていく。
「ね、ねぇ、なに──っ!」
話がよく理解できなくて聞こうとすれば、自分が着ているシャツのボタンをはずしはじめた暁。
私は言葉を切ってそっぽを向いた。
な、なんで目の前で脱ぐのさ……っ!
シャツが張りついて気持ち悪いのかもしれないけど、脱ぐんだったらひと言くらい言ってくれてもいいんじゃない!?
彼は特に気にする様子もなくシャツを脱げば、屋上のドアを開けて外でシャツをぎゅっと絞った。
ちらりとその様子を横目で見ていると、目に入ったのは……彼の右腕の傷。
傷口で血が固まっているけど、痛そうだ。