月夜に笑った悪魔


「悪ぃけど今日は俺と美鈴、マンション泊まるから」


振り向いた春樹さんに言う暁。


……マンション?
泊まる?


「では、美鈴さんをこのあとマンションまで送っていきますね!」
「いや、いい。俺が乗せてくから」


「……大丈夫、ですか?」
「美鈴なら大丈夫な気がする」


「わかりました!」



最後に春樹さんは嬉しそうににこりと笑って、走っていく。



「ね、ねぇ、なに──っ!」


話がよく理解できなくて聞こうとすれば、自分が着ているシャツのボタンをはずしはじめた暁。


私は言葉を切ってそっぽを向いた。


な、なんで目の前で脱ぐのさ……っ!
シャツが張りついて気持ち悪いのかもしれないけど、脱ぐんだったらひと言くらい言ってくれてもいいんじゃない!?



彼は特に気にする様子もなくシャツを脱げば、屋上のドアを開けて外でシャツをぎゅっと絞った。


ちらりとその様子を横目で見ていると、目に入ったのは……彼の右腕の傷。
傷口で血が固まっているけど、痛そうだ。

< 260 / 615 >

この作品をシェア

pagetop