月夜に笑った悪魔
「……っ」
「ん?」
暁は、私を見て驚いた表情。
瞬きを数回繰り返せば。
「……その反応、どっち?」
じっとまっすぐな瞳で私を見つめてくる。
心臓が早鐘を打って、大きく鳴り響いた。
「好き?俺のこと、ほんとに好きになった?」
整った顔が迫ってきて、私は彼の腕を離し距離をとる。
けれど、すぐにその距離を詰められて。
大きな手が頬に触れた。
「早く答えろ」
「ちょっ、待っ……っ!」
「待たねぇよ。好きな女の気持ちがやっとこっちに向いたかもしれねぇのに、待てるわけねぇだろ」
「……っ」
「好き?」
「ほ、ほんとにちょっと待って……自分でも、よくわからないんだってば──んっ」
急に口を塞がれる。
私の唇を塞ぐのは、彼の唇で。
彼は本当に待つ気なんてない様子。
……心の整理くらいさせてよバカっ!
強く彼の胸を押すが、離れてくれない。
後頭部を押さえつけられて、逃げられない。
っていうか、ここはエレベーターなんだけど!
誰か来たらどうするのさ……っ!