月夜に笑った悪魔
抵抗するけれど……彼の熱に触れれば頭がぼうっとしてきて、もういいや、なんて少しずつ思ってしまう。
……私は意思が弱い。
あっという間に流されて、身を任せてしまう。
彼のキスは強引の中にも甘さがあり、気持ちいい。
だから、こんなことを思ってしまうんだ。
角度を変えて唇を重ね合わせていれば、音が鳴るエレベーター。
その音にまた大きく心臓が飛び跳ねた。
彼の唇が離れると、開くエレベーターのドア。
誰かが乗ってきたわけではなく、最上階へと到着したようだ。
……あっという間。
少し乱れた息を整えれば、見えてしまった景色。
きれいに見える夜景。
それは本当にきれい、だけど……あまりにも今いる階は高すぎて足がすくんで動けなくなった。
「ちょっ……暁、助けて」
先におりようとする彼の裾を引っ張ってひきとめると。
「好きって言ったら助けてやるよ」
口角を上げる彼。
な、なんてことを言うんだ……!
そんなに無理やり言わせようとしなくてもよくない!?