月夜に笑った悪魔


「はやと……!」
「すずって何組──」



「芦田(あしだ)くん、堂々と寝てたこと言わなくていいから。それよりほら、こっちは芦田くんのぶんの課題。
明日からの放課後は補習だから、忘れないように」


はやとの声は永瀬先生に遮られ。
彼もまた、私がもらったものと同じ課題を渡された。


「もしかしてすずも赤点!?」


私が持っている課題を見て、気づいたはやと。
その反応は……はやとも赤点なのか。


「うん」
「仲間じゃん!」


なぜか彼は「いぇーい」と私の前に手を出してくる。
ハイタッチ、か。


テンションが高いのは相変わらずのようだ。


赤点仲間なんてそんなに喜ばしいものではないが、パシッとハイタッチをするとその手をそのまま握られて。


「オッケー!明日からね。すずがいるからちゃんと行くよ。じゃあね、センセー!」



彼は先生に笑顔で言うと、私の手を引っ張って社会科準備室を出た。

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