月夜に笑った悪魔


「すずって何組!?俺1組なんだけど!」


廊下で立ちどまり、手が離されると聞かれる。


「私は3組」
「3組か!今度遊びに行こーっと」


「えっ」


軽く言われるけれど。
はやとはわかってるのかな。


私、変な噂しかないし、評判悪いし……。
暁と一緒にいるようになってから悪口とかは堂々と言われなくはなったけどさ。


それでも今も私といるとやっぱりはやとがよく思われないかもしれない。


「やだ?」


微妙な反応をすれば、じっと目を見つめられる。

いやだ、というわけではないんだけど。


「いや……ほら、私って悪い噂ばっかりじゃん?だから一緒にいたら──」
「俺も俺も!こんな金髪だし、ダブってるし、悪い噂しかねぇよ!」



やっぱり仲間だな、と彼は笑顔を向ける。


どこまでも明るい人だな……。
ものすごいポジティブ。


そんなはやとに、昔から励まされていたっけ。


「はやとがいいならいいけど……」
「今度行く!」


「……わかった」
「つーか、気になってたんだけど……すずの本名聞いてもいい?なんかすげー今さらな気がするけど」


そういえば、そうだ。
それなりに会ってるのに、まだ名前をちゃんと知らない。

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